普通ってなんだ?『コンビニ人間』(村田沙耶香)
これは、すごい小説だ。
ページ数も少なく読みやすそうな本だな〜とか思って読んだが驚いた。
たしかに読みやすいしすぐ読める。
ただ内容が衝撃的。
「普通」という感覚が麻痺しそう。いかに自分が「普通」に生きることに縛られているかを突きつけられるような気分。
女性、三十代半ば、コンビニアルバイト、独身、彼氏なし、身体は健康
例えば自分が大学生でコンビニでアルバイトをしていて、おなじコンビニで働くこんな人に対して、どういうイメージをもつか?
「あの人はちょっと変わってる、おかしい人」
と口に出さないまでも思う。たぶん同じコンビニ店員の間でも「あの人変わってるよね」とか「コンビニ人間なんだよ」とか「何が楽しくて生きてるんだろうね」とか噂してると思う。
でも我々の思う「普通」の人のイメージっていつ、どのように形成されたんだろう。こういう人は「普通じゃない」って何で思ってしまうんだろう。人なんてそれぞれ違うとか人権とかよくいうクセに何で「普通であること」を強いるんだろう。学校や職場でのイジメもそう。普通でない人をあげつらうんだろう。
著者の村田さんがどういう意図やコンセプトでこの小説を書いたのか分からないけど、そういう「普通」に対する違和感についての、直球の問題提起をぶつけられた気がした。