シンプルな物語こそ深い『老人と海』
あらすじ(ネタバレあり)
老人は一人で海に出る。大物が掛かるが、釣られて遥か沖合の遠くへ。格闘の末、大物を仕留める。村に帰る道中、幾度も鮫に襲われる。仕留めたり追い払ったりするも、大物はほとんど食べられる骨だけに。何とか村に帰るが老人はボロボロ。老人を師匠のように尊敬する少年は悲しみ、村人たちは老人の船に括り付けられた大物に目を引かれる。
感想
すごくシンプルなストーリー。正直、前情報無しに一読して、「ふーん。大物釣れなくて残念だったね」という一言で終わってしまった。
でも、シンプルで唯一の解釈のみを許すような内容でないから、
①ヘミングウェイの生涯、当時の社会環境などの前知識があるかどうか
②読み手の状況
によって、大きく感想が分かれるような内容。そしてそれが、この本がずっと読み継がれている理由なのかなと思いました。
同じ人であっても、読むごとに違う発見や視点を与えてくれそうです。
振り返ってみると、今まで読んだ本で印象に残るのは、明確に、一つのテーマに対して、一つの答えを示したり問題提起をしたりというような類が多いのかなと思いました。
対して、この「老人と海」は、「自然」、「老い」、「釣り」、「ライオンというモチーフへの考察」など、切り口が多く自由で余白がある。こういう小説も楽しめるようになりたいなと思います。
以下のYouTubeの動画もとても参考になりました。クイズノックが読書の楽しさを教えてくれる、そんな内容です。