ジェットコースター小説『野良犬の値段』(百田尚樹)
ちょっとダークでシリアスな小説が読みたいなと思って手に取りました。
読み始めると、続きの展開がすごく気になる!
話がどんどん展開するし、読む手も止まらない!
そんなジェットコースターのような本でした。
あらすじは、
「誘拐サイト」が立ち上げられたことを皮切りに、ホームレス数人を人質にして、大手テレビ局や大手新聞社などメディアに対して、億単位の身代金を要求するという前代未聞の劇場型犯罪が幕を開けた。
メディア側は野良犬とも言える、赤の他人でありかつホームレスに対して身代金を支払う姿勢は見せない。当然の姿勢ではあるが、日ごろから人権や命の尊さを説くメディアのその姿勢に対して、批判的な市民も一部現れ、購読者の減少やチャリティー番組へも影響が。
そんな中で犯人からの裏取引の提示。
追い詰められたメディアの選択とは。そして犯人たちの目的は。
といった感じ。
構成的には、メディア側。警察側。犯人側。それぞれの視点が交互に描かれていきます。途中まで犯人側の視点は出てこないのですが、そこまでが犯人の実像が全く分からなくてめっちゃ怖かったです。いつも夜に本を読んでいるためか余計怖くなりました…
物語の内容的には、話がどんどん展開していき、小難しい話も無いのでどんどん読めます。リアリティの部分で少し「いやいや」と思う部分もありますが、それを気にさせない話の展開スピードです。
エンタテイメントとしても楽しめる作品でもあるし、
・メディアの姿勢や考え方への疑問
・他人ごとに思うホームレスにちょっとしたことで誰でもなり得るのかも
なんかについて考えさせられる、社会風刺的な話でもあり、二つの視点から楽しめました。