初めての戯曲『ワーニャ伯父さん』
映画「ドライブ・マイ・カー」にも登場した、ロシアの劇作家チェーホフの『ワーニャ伯父さん』を読んでみた。
演劇の台本である戯曲というものを初めて読んだ。
読むと、ほんとうに「演劇の台本だな」という印象。
正直、登場人物の関係が少し複雑。感情移入できないストーリー。戯曲としての書きぶり。たぶん時代の違いと生活様式の違いもあり終始うまく物語に入り込めない感覚があった。
物語のあらすじとしては、
退任した大学教授であるアレクサンドル、その妻エレーナ、アレクサンドルの先妻との子ソーニャ、先妻の母マリア、その子ワーニャらは一つ屋根の下暮らしていた。
ある日アレクサンドルが皆に家を売ってフィンランドに別荘を買うという提案をしたところ、ワーニャはこれまでのアレクサンドルや家への自身の献身を軽視していると感じ強く反発。揉めた後、アレクサンドル夫妻は家を出て行くことに。
ワーニャに対し、その姪であるソーニャは喪失感を抱えて耐えしのんで行きていこうと語りかけるところで物語は終わる。
19世紀の帝政ロシアにおける「インテリゲンチア」の挫折の表現でもあるらしい。そういう時代背景も踏まえた内容のよう。
あえてこの物語から、共有できる価値観を上げるなら、物語最終盤のソーニャがワーニャに悲しみを抱えながらも耐えて生きていこうと語りかけるように、「これまでの人生を否定されるような絶望を味わっても、耐え忍んで生きていこう」ということかな。
戯曲という形式、ロシアの作家、100年以上前に発表された作品ということで、すごくとっつきづらい本だった。演劇として鑑賞すればより理解が深まるのかもしれない。