本と珈琲のある暮らし

小説やビジネス書を好んで読みます。読書の感想や日々感じたことなどをここに記していきたいと思います。

怒涛の人生『ボヘミアン・ラプソディ』

 

 

バンド・クイーンのボーカル、フレディマーキュリーの伝記的映画。

 


バンドメンバーとの出会い、売れっ子時代、結婚と別れ、バイセクシャルの自認、バンドメンバーとの決裂とソロ活動、乱交パーティー、AIDS発症、バンドエイドでの伝説的復活ライブ。

 


1991年に45歳で亡くなるまで怒涛の人生が描かれています。

 


売れっ子になって自信がつき、自己を過信してバンドメンバーらを無下にしてしまったこと、バイセクシャルを妻メアリーに告げ距離を置かれたこと、それによりドラッグ、酒、タバコ、乱交パーティーなど一時的な快楽を求めるようになり、どんどん自分を見失ってしまいます。

 


バイセクシャルという性自認について、映画では一つの大きなテーマになっています。

フレディマーキュリーはそれにより生活が大きく乱れたこともあり、性自認の問題について思い巡らせられます。

彼の乱れた行動や、バンドメンバーや記者らに対する不遜な態度は決して褒められたものではないけど、性自認によって人生が壊れてしまうといったことはあってはいけないことだと考えさせられます。

 


あと、作曲のシーンや、最後のライブのシーンなど、クイーンの曲が生き生きと、迫力をもって聞くことができます。「映画館で大迫力で聴きたかったあ〜」「やっぱりライブの一体感ってすごいな〜」って思いました。

50年経っても色褪せない『ゴッドファーザー』

特に素晴らしい傑作娯楽映画を選び、全国の映画館で1年間にわたって連続上映する「午前十時の映画祭」。

 

近くの映画館で「ゴッド・ファーザー」が上映されるとのことで鑑賞しました。

 

paramount.jp

 

1940年代アメリカの「マフィアの抗争の物語」。

 

「ゴッド・ファーザー」として、マフィアファミリーや友人らから慕われるドン・コルレオーネ(ヴィトー)。

今後のマフィアにおける資金源として麻薬に手を出すか、という話をきっかけに他のマフィアファミリーとの抗争が始まっていく。

仲間を殺され、自身も撃たれ重傷。そんな中、堅気として生活していた息子のマイケルが、傷ついた父を見て裏社会に入ることを決心。会談に応じる応じると見せかけ、父を撃った首謀者のソロッツオと汚職警官を銃殺。マイケルはシチリア島に一時避難する。

一命をとりとめたヴィトーは5大マフィアファミリーを集め休戦協定を結ぶ。これによりアメリカに戻ることができたマイケルはヴィトーの後を継ぐことに。

ヴィトーが亡くなった後、マイケルは5大ファミリーのボス全員を暗殺。兄のソニーの暗殺に加担したファミリー内のカルロも逃がすと見せかけて粛清する。

後日、ソニーの妻がマイケルに夫を殺したのかと詰め寄り、それを見ていたマイケルの妻のケイが真偽を問い詰めるがマイケルは否定。ファミリーたちがマイケルに忠誠を誓う様子をケイが不安そうに見つめる場面で物語は終わる。

 

 

 

この映画は馴染みの無いマフィアの世界を、静かにスリリングに見せてくれる。ファミリーの仲間への深い愛情。一方で見せる非情さ。一人一人の心情の描写が丁寧(だからこそ上映時間が172分(約3時間)もある)。マフィアゆえ人を殺す描写も多いが、その人間模様は心惹かれます。

 

1972年製作の映画で公開から50年が経つ映画ですが、古臭さは無く、魅力を失わない映画だなと思いました。

アイデアの生み出し方『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』

 

 

『ストレングス・ファインダー』の自分の強み分析の結果から、回復志向(問題解決が好き、得意)を伸ばしたいなと思い、それに少しでも関連する本を読んでみようと思って本書を読みました。

 

著者の森岡毅さんのお名前も最近本のタイトルやYouTubeやらで目にしていましたし、本書のタイトルも気になってこの本を選びました。

 

マーケティングの実例とノウハウが書いてあるのかな?と思っていたので、はたして参考になるかな?と思っていましたが、めっちゃ参考になった&読み物としておもしろかったです。

 

前半は森岡さんが前職のP&GからUSJに移ってからの日々について書かれています。苦悩しながらもアイデアを捻り出し続け、ヒットを打ち続ける様子は臨場感もあり物語を読んでいるように楽しみながら読めました。

 

そして、本の後半になると、森岡さんのアイデアの考え方の一端が紹介されています。

知らない人から見ると、森岡さんは簡単に次々と成功につながるアイデアを生み出している天才のように見えるが、そうでは無いとご本人は言います。

 

森岡さんはポンポンとアイデアが浮かぶわけではなく、毎回考えに考えて捻り出していると。そして、そのためには良いアイデアを考えつく「確率」をあげることが重要と言います。

そしてその「確率」を上げるためには、考えるための「フレームワーク」、他の好事例を知る「リアプライ」、好事例含めた情報の「ストック」が大切とのこと。

 

わたしが参考にしたいなと思ったことは3つです。

 

①問題解決のアイデアを考えるとき、いきなりアイデアを考えるのは非効率かつ手段が目的化する恐れがあること。まずは「目的」とそれを満たすための「必要条件」に一番時間をかけること。そして最後に必要条件を組み合わせながら具体的なアイデアを考える(戦略的フレームワーク

 

②課題の原因を考えるとき、全体から闇雲に仮説を立てて考えるのは非効率かつ見落としが出る。なので全体を100と考えて、全体をカバーできるように50、50の2つの仮説を立てる。そこからどんどん絞っていく(数学的フレームワーク

 

③課題にぶつかった時、「同じ課題で悩んだ人が絶対にいるのでは?」と考える。ついつい自分でゼロから考えがちだけど、他の同じような事例を探してみるという意識をもつ。あとは普段から自分に身近な好事例をストックできる仕組みをつくっておく。

 

この本ではマーケティングの思考法について、突っ込んだことが書いてあるわけではないのですごく読みやすかったです。一方で本当はもっと奥が深いんだろうなと思いました。

 

この本を読むと森岡さんの目論見どおり「USJ行きたい…!」と思ってしまいます笑

ストレングス・ファインダーで自分の才能を見つけてみた

 

目次

 

 

ストレングス・ファインダーやってみた

自分の強みを、自分でしっかり理解したいと思い、ストレングス・ファインダーをやってみました。

 

 

 

 

 

 

判明した5つの才能

私の上位5つの資質は

①公平性

②回復志向

③調和性

④適応性

⑤内省

 

ふむ、なるほど。

たしかに全部当てはまりそう。

 

でも、「なるほど、たしかに」で終わらせないようにしたいので、ひとつひとつ少し深掘りしてみる。

 

あくまでまだ「才能」であって「強み」では無いとのことなので、「これが私の強みです!」と言えるために何をしなきゃいけないか記載されている「行動アイデア」の中から考えてみる!

 

①公平性

ひとりが特別視されたりズルしたりしていると嫌な感じがする。

行動や手順がパターン化されていると、効率的でコントロールできると思う。

 

確かに、仕事を押し付けたりズルしたりする人への嫌悪感はすごいある。

あと、人によって仕事のやり方とかに違いが出て支障が出ることってもんだいあるよなとか、評価されるべき人が公正に評価されるべきだよな、という意識もあるな。

 

行動アイデアからやってみようと思ったことは、

①真の功績に値する人が誰かわかる人だ、という周りからの評価を育てる。

②誰がやっても同じになるという効率的なルールづくり。

 

②回復志向

問題解決が好き。

どこに問題があるかを見極めるのに長けている。

人、会社、物などの故障や停滞を見極め直し本来の輝かしい状態にする。

 

確かに、「この人はこういうところが良い・ダメ」とか「既存の仕事のやり方は分かりずらいから見直す」とかよく思ったりやったりしてる。

 

行動アイデアからやってみようと思ったことは、

①医療、コンサル、プログラミング、カスタマーサービスが向いてるみたいなので興味を持って調べてみる。

②人のこともやりすぎちゃうとその人の成長を阻害してしまうかもしれないので気をつける。

③経営を再建するといった状況、停滞気味のプロジェクトや事業・だらけ気味の組織やチームの活性化といった状況で、自分がどこまでやる気になれるか、どこまで力を発揮できるか確認してみる。

④回復志向を既に発生した問題の解決策ではなく、予防にも使う。

 

③調和性

対立や衝突を避ける。同意点を求める。

共通する部分を見つけ調和に向かわせようとする。

 

確かに対立は避けがち。

意見が対立するときに、一方の意見に過度に肩入れしない傾向もあるかも。

 

行動アイデアからやってみようと思ったことは、

①調和性を武器に違う視点の人と交流を広げる。

②争いの回避ばかり求めて、問題の未解決や先延ばしにならないようにする。調和と効率性を天秤にかけて判断する。

 

④適応性

今が大事。

柔軟性がある。

 

確かに他の人が動揺する場面でも比較的冷静(と思われがち)かも。

 

行動アイデアからやってみようと思ったことは、

①他の人が動揺しても冷静に。安心感がある人という評価をさらに高める。

②手順に従うだけといった場面では、それをゲームにしてしまい、柔軟性を求める自分を満たす。

 

⑤内省

考えることが好き。

1人の時間が好き。

 

確かに、

・プレゼント何にしようかな

・旅行のスケジュールどうしようかな

・今後のキャリアどうしようかな

・休みの日何しようかな

とか、何でもってわけではないけど結構じっくり考えてるし、ひとりで考えるの好きなのかも。

人に相談する前にまず自分で一度考える、理解・納得する癖もある気がする。

 

行動アイデアからやってみようと思ったことは、

①毎日日記をつけて考える時間を書く時間をつくる。思考の種を記録して振り返れるようにしておく。付随的に一日一日を大切にしようと思えるかも。

②ひとりで考える時間が長くなるので周りの人には閉鎖的に思われるかもしれないが、思考している時間は人間関係をより良くするためのものだと自己認識する。時には何らかの手段でアピールする。

③プロジェクトは最初から関わる。途中からだと自分のじっくり考えるという才能が生かせないので。

 

ジェットコースター小説『野良犬の値段』(百田尚樹)

 

 

ちょっとダークでシリアスな小説が読みたいなと思って手に取りました。

 

読み始めると、続きの展開がすごく気になる!

話がどんどん展開するし、読む手も止まらない!

そんなジェットコースターのような本でした。

 

 

あらすじは、

 

「誘拐サイト」が立ち上げられたことを皮切りに、ホームレス数人を人質にして、大手テレビ局や大手新聞社などメディアに対して、億単位の身代金を要求するという前代未聞の劇場型犯罪が幕を開けた。

メディア側は野良犬とも言える、赤の他人でありかつホームレスに対して身代金を支払う姿勢は見せない。当然の姿勢ではあるが、日ごろから人権や命の尊さを説くメディアのその姿勢に対して、批判的な市民も一部現れ、購読者の減少やチャリティー番組へも影響が。

そんな中で犯人からの裏取引の提示。

追い詰められたメディアの選択とは。そして犯人たちの目的は。

 

といった感じ。

 

 

構成的には、メディア側。警察側。犯人側。それぞれの視点が交互に描かれていきます。途中まで犯人側の視点は出てこないのですが、そこまでが犯人の実像が全く分からなくてめっちゃ怖かったです。いつも夜に本を読んでいるためか余計怖くなりました…

 

 

物語の内容的には、話がどんどん展開していき、小難しい話も無いのでどんどん読めます。リアリティの部分で少し「いやいや」と思う部分もありますが、それを気にさせない話の展開スピードです。

 

エンタテイメントとしても楽しめる作品でもあるし、

・メディアの姿勢や考え方への疑問

・他人ごとに思うホームレスにちょっとしたことで誰でもなり得るのかも

なんかについて考えさせられる、社会風刺的な話でもあり、二つの視点から楽しめました。

「多様性」の罠 『正欲』(朝井リョウ)

 

正欲

正欲

Amazon

 

去年読んだコンビニ人間に続き、これもまたすごい小説…。

 

コンビニ人間、52ヘルツのクジラたち、流浪の月など、最近話題になる本は「多様性」や「マイノリティ」がテーマのものが多い気がする。

 

この「正欲」もまさにこれがテーマではあるけれど少し違う。

自分には想像もできない趣向や性癖(小児、涙、水など)をもつ人がいるということを考えさせられる。

 

多様性ってきれいな言葉だけど、すごい便利に使われて本質を見えなくさせる言葉なのかもしれない。「多様性」は「自分の想像の及ぶ範囲での多様性」ってことがよくわかった。当事者からしたら怒りすら湧くのかもしれない。

 

でもだからといって普通の人(本書で言う、明日死なないことが前提の人)が悩んでいないわけでもない。選択できるからこその苦悩もある。

 

お互い話し合わないと分からないんだろうな。どちらかが決めつけとか固定観念に縛られていると一緒に生きられない。でも話し合うまでに至れるか。

 

ぜひ多くの人に読んで欲しい!と思うような一冊でした。

ひねくれ女子の脳内『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ)

 

 

初めて綿矢りささんの小説を読みました。

 

デビュー作の『インストール』、そして芥川賞の『蹴りたい背中』など、若くして注目された綿矢りささん。名前や作品名は知っていて、いつか読みたいと思っていました。

 

今回はタイトルにインパクトがあり、映画化もされた『勝手にふるえてろ』を読んでみました。

 

 

本作の感想を一言で「ひねくれてるな〜」。

全編をとおして主人公ヨシカ視点で語られる本作は、ひねくれ女子ヨシカの脳内を存分に堪能できるものとなっています。

 

 

だいたいのあらすじ

26歳のOL、ヨシカは中学時代からこっそり恋心を寄せるイチと、職場でヨシカに好意を寄せるニとの間で気持ちが揺れている(ヨシカは2人の男性を名前ではなくイチとニという通称で区別している)。ひねくれた思考をもつヨシカは、2人の男性どちらを選ぶのか。そしてどんな結末を迎えるのか。

 

ストーリー的には、正直「告白したのに全然答えをもらえない生殺し状態のニがかわいそう」とか「こんなかまってちゃん女子に感情移入できないな〜」とか思いながら読んでました。ヨシカのひねくりぶりというか、かまってちゃんぶりにちょっとイラっとすることも笑。

 

結末も個人的には「えー!そんなことある!?」という感じ笑。全体的に感情移入はできなかったかな。

 

ただ一方で、逆にヨシカの妄想癖、思い込みの強さ、ひねくれっぷり、欲深さなどが思う存分描かれていて、それをヨシカ視点で楽しめるのはこの小説の魅力かなと思いました。

 

なりより、ここまでのキャラクターの心情を一冊分描き切る綿矢りささんの力がすごいなと思いました笑。